立ち上がるバネになるもの。

今日は朝から真剣勝負してきた。
ごまかしのきかない相手に対して、ごまかさず自分を説明するというのは、難儀なことだけど、得るものも多い。
いま、しみじみと自分の思い込みを手放してるところ。


最近はずっと求職をしてるのだが、その様子を見てたたこ焼き屋の店主が、ウチの社長が系列店の店長候補をさがしてるから、やってみないかと言ってくれていて、自分はたこ焼き屋をやりたい一心で生きてきたわけじゃないから、しごとが出来るのは有り難いことだけれど、どうかなあ〜と思いつつ、他の求人に応募していたのだが、ようやく社長と連絡が取れて、一度あってみましょうということになり、面接のような顔合わせのようなことをしてきたのでした。

結果で言うと、話はお流れになったのだが。

もともと自分は漠然としたキャラクタで、エゴが薄いのだが、『やる気』の問答になると、前にも書いたけど、本当にたいへん。
生活があるとか、貯金に限りがあるとか、どんな形であれ社会に参加しなくちゃとか、仕事仲間に『逃げる当てがなかったら、うちを当てにして逃げておいで』といった手前しっかりしなくちゃいけないとか、そういうユルユルとした状況があるだけで(それでも必死だが)なかなか説得力のある話ができない。

ガッツはあるか?とか、根気はあるか?と聞かれたら、まあ、東海道を原チャリで走れるくらいだから大丈夫と思うんだが、それすら漠然とした話だと言える。

面談は一時間くらいしてたんだけど、要求されてるのは店長というのは代替えの効かない存在だから、逃げ出したい状況になっても踏みとどまれるくらいのヤル気を裏付け出来る動機を示してほしいと。
つまり、自分で小さくても店を持ちたいとか、留学したいとか、学校に戻りたいとかいうこと。生活のために働くのであれば、ふつうにサラリーを稼ぐのでいいが、そのくらいの覚悟では勤まらないし、任せられないのだということ。

それで、わたしは考えた。
考えたけど、どんなにめぐらせても、生活をしっかりしたいというくらいしか動機がない。
店を持てたら、経営者にふりまわされなくて済む。だから店をやってみたいなというのは漠然と思う。でもただそれだけ。
もっと言うなら、首都圏で生活してた時、もの凄いガッツで働いていた。搬送なんかは相当な頑張りをしたつもりだった。だから、そのときのことを説明して『私はやろうと思えば、そうとう頑張れる人間です』と言いそうになるが、言えなかった。

つまり、搬送してたときの私には、東京に根をおろすという動機があったと解ったから。奈良での生活をしっかりさせたいというのはある。でもあの頃の動機と比べるのとは違う気がする。『相当な動機』が311をきっかけに白紙に戻ってしまったのだということに、ショックを受けつづけてるし、もう一回自分に夢をかけて、何かに挑戦してるというのではない。その証拠に、腹の底から笑っていない。

ギターも弾くし、マッサージも習うし、仕事も探してる。
しかし、笑えない。
動機がきちんとある人間とは言いづらいと思う。
自分は逃げてきたことを人に話して、同情を買おうとしてるのではないし、同じ立場や、似たようなキズを持ってる人は沢山いらっしゃるはずなので、正直に、『自分は実力不足です』と答えるしかなかった。

推薦してくれた兄ちゃんに対する礼儀も払えたし、時間を割いてくれた社長にも無礼を働かずにすんだ。じぶんにも嘘をつかなかった。答えとしては正しいとおもう。

社長は話を聞いてくれた上、なにか動機が出来たら連絡してと言ってくれた。
ほんとうに有り難いことだ。


家に帰ってからしみじみと思った。
じぶんは東京にいたとき、相模原で暮らしてた時、自分の実力を出し切って勝負して生きてると思ってた。
でも、それだけではなくて、国も環境も信じてた。協力者もいた。未来のことを想像できた。ずいぶん色んなことに裏打ちされた環境だったのだ。自力だけで引き寄せた状況じゃなかったのだ。

今の自分けしからん、という話ではなく、そこまで物事を追い込んだ原発事故よ、許せん!というのではなく、しみじみと自分が自分に施したプログラミングの存在を確認せざるを得なかった。善悪ではなく、あのころの私はいない。じぶんはもう一度、ちゃんと頑張れるということを証明しなくちゃダメだ。
身体をきたえたり、よく寝たり食べたりして、腹の底から笑えないとだめだ。

当分は放射能は消えない。
社長だって、もしかしたら『完全に安全な食材はない』と思って商売に迷いが出るときが来るかも知れない。そして、今の私みたいに、理想を追求出来ていた自分、それはもう過去なんだ……と愕然とする日が来るかも知れない。それでも動機を裏付ける強さを持って、経営を続けるかも知れないし、進路を変えるかも知れない。
それは社長が考えることで、彼にしか決定出来ないことだ。


今は非常事態で、なかなか希望は持ちづらいけれど、そのことをふまえつつも何とか納得して生きていけるように、実力を磨いていける自分でありたいなあと思った。すごく難しいことだけど。


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